- 2026年5月8日
健診で「HbA1c」を指摘されたら ― 数値の意味と、受診の目安
健康診断の結果を受け取って、「HbA1c」という見慣れない項目に印がついていた――そんな経験はありませんか。数字の意味がよく分からず、不安なまま検索してこの記事にたどり着いてくださった方もいらっしゃるかもしれません。
このページでは、HbA1cとはどんな検査なのか、数値の目安はどのくらいか、そして指摘を受けたあと何をすればよいのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とは
HbA1cは、過去1〜2か月の血糖値の平均的な状態を反映する血液検査の項目です。採血直前に食事をしたかどうかにあまり左右されないため、ふだんの血糖の状態を知る指標として広く使われています。
血液中のヘモグロビン(赤血球の中にあって酸素を運ぶたんぱく質)に、ブドウ糖がどれくらい結びついているかを%で表したもの、と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。赤血球の寿命がおよそ4か月であるため、その間の血糖の状態がじわじわと値に反映される、というしくみです。
そのため、健診の前日だけ食事を控えても数値はほとんど変わりません。「ふだんの血糖」がそのまま映る鏡のような検査だと考えていただければと思います。
数値の目安
日本糖尿病学会の基準では、おおむね次のように整理されています(出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』)。
- 5.5%以下 … 基準範囲内
- 5.6〜5.9% … 正常高値(やや高め)
- 6.0〜6.4% … 糖尿病の可能性を否定できない
- 6.5%以上 … 「糖尿病型」と判定
ただし、HbA1cの値だけで糖尿病と確定するわけではありません。空腹時血糖や食後の血糖値、症状など、ほかの情報と合わせて医師が総合的に判断します。
指摘されたら、まず一度受診を
5.6%を超えていた場合や、前年より上がっていた場合は、自覚症状がなくても一度ご相談いただくことをお勧めします。糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状が現れないまま、ゆっくりと進行していくことが知られています。
一方で、必要以上に怖がる必要もありません。早い段階で気づくことができれば、生活習慣の見直しだけで数値が落ち着いていく方もいらっしゃいます。急がず、しかし放置せず、というのが大切な姿勢です。
受診の際の流れ
初めて当院にお越しいただく方には、次のような流れでご相談を進めています。
- 問診(健診結果や過去の検査結果があればぜひお持ちください)
- 採血・必要に応じた追加の検査
- 食事・運動・お仕事・睡眠など、生活背景のお聞き取り
- 結果に基づいたご説明と、無理のない方針のご相談
いきなりお薬が始まるわけではありません。多くの場合、まずは生活の中で見直せそうなところを一緒に探すことから始めます。
日々の暮らしで意識したいこと
ご家庭で意識していただきたいポイントは、特別なことではありません。
- バランスの取れた食事と、ゆっくりよく噛むこと
- 主食・主菜・副菜の順に食べる、いわゆる「食べる順番」の工夫
- 食後に少し体を動かす習慣(10〜15分の散歩でも十分です)
- 適正な体重の維持
- しっかりとした睡眠
- 一人で抱え込まず、気になることは早めに相談する
完璧を目指す必要はありません。「できそうなことを、できる範囲で」が長続きの秘訣です。極端な食事制限や急なハードな運動は、かえって続かなかったり、別の体調不良の原因になったりすることもあります。ご自身の生活に無理なく溶け込ませられる工夫を、一緒に見つけていけたらと思います。
ご相談をお待ちしています
当院の院長は内分泌代謝糖尿病内科専門医として生活習慣病を専門に診療しています。健診結果を見て少しでも気になることがあれば、結果票をお持ちのうえお気軽にお越しください。お一人おひとりの暮らしに寄り添いながら、一緒に進めてまいります。