- 2026年8月6日
- 2026年8月3日
糖尿病の薬にはどんな種類がある? ― SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬まで糖尿病内科専門医が解説
「血糖のお薬を始めましょう」「今の薬から変更しましょう」――そう言われて、不安を感じる方は少なくありません。糖尿病の治療薬は種類が多く、飲み薬もあれば注射薬もあり、それぞれどんな仕組みで血糖値を下げているのか分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。特に近年はSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬など、新しいタイプの薬が次々と登場し、テレビやインターネットで名前を目にする機会も増えてきました。
この記事では、当院で処方することの多い糖尿病治療薬を、作用の仕組みごとに分かりやすく整理してご紹介します。薬の変更やインスリン導入を検討されている方、GLP-1受容体作動薬にご興味のある方の参考になれば幸いです。
薬はどう選ばれる? ― 一人ひとりで違う「最適な薬」
糖尿病の治療薬は、大きく分けて「インスリンの分泌そのものが足りないタイプ」と「インスリンは出ているものの効きにくい(インスリン抵抗性が強い)タイプ」のどちらの要素が強いかによって、選び方が変わってきます。さらに年齢、腎機能、心臓や腎臓の合併症の有無、体重、低血糖リスクをどこまで避けたいかなども総合的に考慮したうえで治療薬を決定します。
同じ「2型糖尿病」という診断でも、患者さんによって病態や生活背景は異なるため、最適な薬の組み合わせも一人ひとり違います。当院では血液検査の結果や普段の生活状況を丁寧に確認したうえで、それぞれに合った治療方針をご提案しています。合併症全体の検査・治療の流れについては糖尿病と長く付き合うための千城台での通院でも詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。
薬の分類 ― 主な糖尿病治療薬

糖尿病治療薬は、体のどこに、どのように働きかけるかによって分類できます。代表的なものを見ていきましょう。
インスリンの分泌を促す薬
DPP-4阻害薬は、食事に応じて腸から分泌される「インクレチン」というホルモンの働きを長持ちさせ、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促す薬です。血糖値に応じて作用するため低血糖を起こしにくく、日本で非常に広く使われている薬の一つです。
SU薬・グリニド薬は、膵臓に直接働きかけてインスリンの分泌量そのものを増やす薬です。効果は確実ですが、食事量が少ないときや運動量が多いときには低血糖を起こしやすい点に注意が必要です。低血糖の症状や対処法については低血糖についてでまとめていますので、服薬中の方はぜひご一読ください。
糖の吸収・排泄・産生を調整する薬
ビグアナイド薬(メトホルミン)は、主に肝臓での糖の産生(糖新生)を抑えることで血糖値を下げる薬で、世界的にも2型糖尿病治療の第一選択薬の一つとされています。
SGLT2阻害薬は、腎臓で糖が再吸収されるのを防ぎ、余分な糖を尿として排出させる薬です。体重減少効果に加え、心臓や腎臓を保護する効果を示すエビデンスが蓄積されており、近年処方が増えています。一方で、尿に糖が出ることに伴う脱水や尿路感染・性器感染には注意が必要で、発熱や下痢などで体調を崩した「シックデイ」の際には、一時的に休薬することが推奨されています。シックデイ時の対応についてはシックデイの過ごし方をご参照ください。
このほか、糖の消化吸収を緩やかにするα-グルコシダーゼ阻害薬、インスリン抵抗性を改善するチアゾリジン薬、比較的新しい薬であるイメグリミンなどもあり、それぞれの特性に応じて使い分けています。
注目のGLP-1受容体作動薬・チルゼパチド ― 効果と注意点
GLP-1受容体作動薬は、インクレチンの一種であるGLP-1の作用を強めることで、血糖値に応じたインスリン分泌を促すとともに、食欲を抑えて体重を減らす効果も期待できる薬です。週1回の注射薬に加え、近年は飲み薬タイプ(経口セマグルチド)も登場しています。GIPとGLP-1の両方に作用するチルゼパチドという薬も、血糖改善・体重減少の両面で効果が報告されています。
一方で、GLP-1受容体作動薬は近年、糖尿病治療とは関係のない「美容・ダイエット目的」での適応外使用がSNSなどで話題になり、社会的な問題にもなっています。しかし、この薬は本来、医師による診察や検査、経過観察のもとで使用する治療薬です。医学的な管理を受けずに自己判断で入手・使用することは、消化器症状や急性膵炎など思わぬ健康被害につながる危険があり、糖尿病内科専門医として強くお控えいただくようお願いしています。
インスリン療法 ― 「最後の手段」ではありません
インスリン療法と聞くと「治療の最終段階」というイメージを持たれる方が多いのですが、実際にはそうとは限りません。インスリンは体内で不足している分を直接補う治療であり、診断初期であっても血糖値が非常に高い場合などは、早期に導入することでかえって膵臓の負担を減らし、その後は飲み薬だけで管理できるようになることもあります。インスリンの種類や導入のタイミング、CGM(Dexcom G7など)を使った血糖管理の詳細については、糖尿病と長く付き合うための千城台での通院で詳しくご紹介しています。
薬の自己判断による変更・中止はおやめください
ここでご紹介した薬は、それぞれにメリットと注意点があります。体調の変化や副作用が気になる場合でも、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、必ず主治医にご相談ください。他の薬との飲み合わせや、そのときの体調によっては、思わぬ体調不良につながることもあります。
千城台で糖尿病治療をお考えの方は当院へご相談ください
糖尿病の薬物療法は、病態や生活スタイルに合わせてオーダーメイドで組み立てていくことが大切です。「薬を変えたほうがいいのか気になる」「注射に抵抗がある」「GLP-1受容体作動薬について詳しく知りたい」など、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
当院は千城台駅直結、イコアス千城台2階(千葉市若葉区)にございます。無料駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。Web予約は24時間受付中ですので、ぜひご利用ください。
